ストールマンに会う

@ むかしむかしFM-TOWNSという名前のパソコンの仕事をしていた。TOWNSのOSはMS-DOS(まだWindowsはマイナー)に,DOS|Extenderというユーティリティをかぶせたもので,DOSAPIをそのまま使いながら,メモリだけが640MBから4GBフラットに広がったような感じだった。TOWNSはこの上にさらに独自のGUIライブラリを乗せて,アプリケーションはその上に構築した。DOSの64KBバウンダリしか体験したことのなかったワタシにとっては,セグメントを意識しないでいいというのはなかなか新鮮な感じであった。
で,このDOS|Extender上に,ユーザがGNUのツールを移植しはじめた。これが面白いということになり,移植済みのGNUのツールをまとめて売ろうという話になった。
@ そんなこんなでアメリカに行き,GNUの大ボスであるところのリチャード・ストールマン氏に会うことになった。当時ストールマン氏はMITにいて(MITとは無関係だったが,研究室の1つを提供してもらっていた?らしい),MacExpo Bostonを見てから会いに行ったことを覚えている。アポの確認にストールマン氏に電話した人は,今MacExpoにいるといったら,ストールマン氏に "what a shame.." とか言われたそうだ。
実際に会うとストールマン氏は小柄でやさしそうな感じの人だった。TOWNSに移植したツールをCD-ROMに入れて売りたいなどとを説明して,最後にTOWNSユーザにメッセージを話してもらった。ワタシは持参していた8mmビデオでストールマン氏を撮影した(これは帰国してから動画データに変換して,GNU CD-ROMに入ったはずである)。
ストールマン氏に会ったその帰り,どこぞのレストランで酒を飲みながらみんなでストールマン氏の物真似をしたりした(アホ)。みんな緊張していたのだ。
@ GNU CD-ROMは,毛筆で「GNU」と大書されたジャケットデザインが印象的であった。どれくらい売れたのだろう?
ちなみに帰国してから周囲の人に「ストールマンに会ったよー」といっても誰も知らなかった。当時日経マックの編集長だった林さんすら知らなかったから,今から思うと不思議な感じもする。