眠る瞬間

子供の頃,いつも疑問に思っていたことがあった。
「ヒトはどの瞬間に眠るのか?」
布団にはいるといつのまにか眠って朝になっているが,当然起きている状態から眠る状態になる瞬間があるはずで,それは自分がしっかりしてさえいればわかるはず(と少年ma2は思っていた)。しかし,いくら布団の中で「いつ眠るのか?」と身構えていても,知らない間に朝になっている。これではイカンと思った少年ma2は「眠る瞬間検知装置」を作った。紙で作った箱に長い紐をつける。紐をカーテンレールの上を通して引っ張り,その端を布団の中で持つ。眠った瞬間に手を離すので,箱が落ちて分かるという仕組み。
次の日はっと目覚めた少年ma2。箱は落ちていたが,何も覚えていない。隣で寝ている弟が「落ちるところ見たよ!」と言うが,なんの慰めにもならなかったとさ。