イラク人質事件

昨晩解放のニュースが流れた。
今回のニュースはワタシ的には非常に興味深かった。

  • 事件の早い段階から人質に対する批判/非難が激しかった
  • 新聞や雑誌などのメディアでも人質非難の論調があった
  • 自作自演説も早期に流布した

おそらく人質になった人はあるていど(どのていどかって問題はあるけど)の覚悟はあっただろう。そんなの当然。イラクへ行くんだもんね。家族は「自衛隊撤退してでも命を救って」と言うだろう。そんなの当然。家族だもん。だから「人質になったのは自業自得だろ」っていうのは分かりきった結論で,昔はこんな当たり前のことはわざわざ口に出して言わなかった。ところがこれだけインターネットが広まると(変な言い方。なんて言えばいいのだろう?),これがどんどん「口に出て」しまう。マスコミも「ネット世論」に押されるような形で,人質非難のトーンになってしまう。
今回の事件に対する世論は「人質が悪い」「アメリカが悪い」「テロリストが悪い」「自衛隊が悪い」「日本政府が悪い」と,いろんな方向に転がる可能性があった。因縁が複雑に絡み合っているからね。それが結局「人質が悪い」となったのは,それが最も"辛口"だから,という気がする。日本人の"辛口"信仰というものは根強いものがある。悪口を言わない伝統的な社会では「わざわざ悪口を言うのはよっぽど確信があるから」ということだから。そういう意識が社会全体に働いた,あるいはネット上に群発的に現れた様々な意見が自己組織的にまとまっていったのか。
これからもなにか事件が起きれば,その中で最も"辛口"の結論がインターネット上では採用されるに違いない。