猛スピードで母は

猛スピードで母は (文春文庫)

猛スピードで母は (文春文庫)

長嶋有作品は『パラレル』とか『ぐっとくる題名 (中公新書ラクレ)』を読んでいる。エンターテインメント系のお話じゃないから,ドラマ性は希薄というか無いようなものなんだけど,それでも面白いのはなんでだろう。小説のカタルシスはドラマ性にあるわけじゃないってことかなあ。洗濯機から盛り上がる泡とか,サイドカーの犬とか,そういう描写がリアルって言うんじゃないな。なんだろ。草の匂いを嗅いだ途端に過去のシーンが思い浮かぶような既視感がある。